出会い系サイトのレイプマン
第2章 ガソリンスタンドからの脱出
田中理沙は道路から見て杉の大木の裏側に隠れて、一安心をしていた。
こんなズボン!ポイしてやる!…バサッ、ざまあみろだ、…
黒田明の茶系のスラックスを森の中に捨ててから、脱がされた茶系のパンスト、ホワイト系のブラウス、茶系のスカートを順々に身に付けて行く。茶系の上着を身に付けて黒いハンドバッグの中からスマートフォンと充電器を取り出した。
やっぱり電池切れだわ、充電器の電池も抜かれている…電池がないとスマホが使えない、これじゃー警察にも電話が出来ないし、現在地の確認も無理だわ…
土曜日は大学時代の友人宅に泊まると母親には言ってきたが、色々な心配事が頭の中を駆けめぐっていた。
ハッ!聴こえる、車のエンジン音、もうあいつが追って来たんだわ、
道路から20メートルも針葉樹林の中に入り、おまけに杉の大木の裏に隠れている、簡単に発見されることはないが緊張が高まった。
車が目の前の道路を通過してから、杉の大木から半分だけ顔を出して
白いクラウンかどうか確認をする。
やっぱりあいつだわ、助かった、…
ガサッ、ガサッ、ゴソッ、ゴソッ、ー!
はっ!なんだろう、何か後ろから近づいて来ている、ここも安全じゃないわね、
ガサッ、ガサッ、ゴソッ、ゴソッ、
針葉樹林の中は静かだった、静かなだけに僅かに聴こえる何かの足音を理沙の耳もとらえていた。
ここに居ても安全ではないとすぐに身を低くかまえた。それはまるで戦場の中をくぐり抜けて来た老兵が、いち早く火薬の臭いをかぎ分けて危険を回避するようだった。