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雪の華~Memories~【彼氏いない歴31年の私】

第4章 LessonⅣ 忍ぶれど

 仲の好い女友達にすぐに来て貰うようにするからと言い聞かせ、その友人と朝まで一緒に過ごせば良いと説得した。
 しかし、彼女は最後まで頑として折れなかった。
―吉瀬君が良いの。吉瀬君じゃなければ駄目なの。
 聡はゆるりと首を振った。
「恐らく、そのときの彼女は―こういう言い方は失礼かもしれないが、誰でも良かったんだろう。たまたま側にいたのが俺で、彼女に親切にした俺に彼女は縋りついたにすぎないんだ。愚かにも俺はそれが彼女の気持ちだと都合の良いように誤解して、彼女と結婚した」
 彼女の勢いと懇願に負けて一夜を共にしてから、一ヶ月後のスピード婚だったという。もちろん、互いの両親にも内緒で式も挙げず、入籍しただけのものだった。

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