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雪の華~Memories~【彼氏いない歴31年の私】

第2章 LessonⅡ 心ときめく記念日

「は、はい。本間ですけど」
 頷くと、男は破顔した。ほどよく陽に灼けた男らしい顔にやわらかな微笑がひろがる。
「良かった。ちゃんと場所をお話ししておかなかったので、もしかして迷われたのではないかと心配して見にきたんですよ」
 その言葉から、この男が例の写真館のカメラマンだと判る。そこで、輝は漸く訊ねたかった質問を発する勇気を得た。
「あの―、こんなことを初対面でお訊ねして失礼なのですけれど、幾ら探してみても、この辺りに写真館はなかったと思うんですが」
 と、男の笑みが更に深くなった。
「申し訳ない。やはり、事前にお話ししておくべきでしたね。実は写真館なんてたいそうな名前を名乗っていますが、その写真館そのものは実体がないんです」
「は?」
 あまり物に動じないと自認している輝だが、流石に愕きを隠せなかった。これは新手のドッキリだろうか? それとも、到底、そうは見えないが、悪質な手の込んだ悪戯か?

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