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雪の華~Memories~【彼氏いない歴31年の私】

第3章 LessonⅢ 悪意ある噂

 いつもはこの若い女の子特有の語尾を上げるしゃべり方が癇に障ってならないのだけれど、流石に今日ばかりは気にしている余裕はなかった。
「美奈子ちゃんこそ、どうしたの?」
 年上かつ会社の先輩であるということを示すために、わざと上から眼線的な態度でゆっくりと言う。
「あたし? あたしは今日、岩田君とデートしてる最中なんですぅ」
 そこで、輝の悪夢は決定的になる。何で、よりにもよって、今日、いちばん聞きたくない名前を聞かなければならないのか。教会の前で不謹慎かもしれないが、思わず天を呪いたくなった。

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