
359°
第5章 甘い香りとしょっぱいキス
次の日の放課後。
オレと木下は、また『アリスの森』に向かった。
文化祭まで何度も足を運ばなきゃいけないのは、正直苦痛だ…。
「じゃあ、販売するのはチーズケーキと手作りクッキーと紅茶ですね」
そう言って木下はメモを取る。
今日は余計な邪魔も入らず、トントン拍子に話が進んだ。
オレはチラリと菅生さんを見た。
珍しく仕事モードで、それがかえって不気味だ。
「じゃあクッキーは前日に作ったほうがいいな、賞味期限短いし。店終わってから作るけど、夜来れる?」
「あたしは10時までなら…」
「オレは何時でもいいっすよ」
「よっしゃ、じゃあ2人とも8時頃に来てくれ。エプロンはこっちで貸すから」
文化祭前日、オレたちは販売するクッキーを一緒に作ることになった。一応協力はしないとな。
