
359°
第5章 甘い香りとしょっぱいキス
打ち合わせが終わり帰ろうとすると、オレの携帯が鳴った。順平からだ。
「…んだよ」
『お前いっつも機嫌悪いね』
「るせーよ、何の用だよ」
眉間にシワを寄せて話してると、木下が心配そうな顔して覗き込んできた。
「あ…先帰っていいよ?」
携帯をずらしてオレがそう言うと、木下は首を左右に振った。
「もう少し一緒にいていい?///」
「…っ」
木下のいきなりの大胆発言に、オレは思いっきり動揺する。
「えっ…あ…///」
『おーい、卓也?』
「あっ…わ、わりぃ…で?」
『今さー、駅前のカラオケにいんだけど。文化祭の練習するから来てくんない?』
「は?なんでオレが…」
『一人じゃ練習なんねーだろぉ?アドバイスとかしてくれよ』
「まみちゃんにしてもらえよ」
『お前じゃないとだめなんだよ』
「…」
オレは一瞬迷った。
カラオケでもいいからあの曲を思いっきり歌いたいと思った。
「…わかったよ」
『さすが卓也♪受付で待ってるわ』
