359°
第5章 甘い香りとしょっぱいキス
ーーそして文化祭前日。
オレと木下は駅で待ち合わせると、アリスの森に向かった。
「いよいよ明日だね」
「あぁ、やっと解放される…」
オレはコキコキと首を鳴らした。
文化祭実行委員がこんなに大変だとは思わなかったぜ…
来年はもうぜってぇーやらないからなwww
「結局、坂本くんは歌わないんだね」
「ああ…うん…」
あの時スタジオで『HIT IN THE USA』を熱唱したオレ。
みんなとの息はピッタリだった。
これなら優勝もいける、って正直思った。
だけどオレは断った。
順平が自分から言い出したことを、オレが横から奪うわけにはいかないから。