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第5章 甘い香りとしょっぱいキス

《拓哉side》


「なんかあいつ、拓哉の言うことは素直に聞くんだな」


少し口を尖らせながら、龍が言った。



「お前はからかいすぎなんだよ」



俺はハート型のクッキー生地をオーブンの皿に並べ始めた。


「なんか久しぶりだな、こうやって一緒にクッキー作るの」

「ああ、ユキにはよく振り回されたよなぁ。夜中にいきなりクッキーやケーキ作ろうとか言い出して…おかげで俺は菓子作りが趣味になっちまった」

「はは、俺もまさか龍がパティシエになるとは思わなかったよ」

「まだ見習い、だけどな」



俺は微笑しながら、オーブンのボタンを押した。



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