359°
第6章 熱意と決意
ゆっくり振り返ると、私服姿の高藤さんと目が合った。
「…」
「おはよ」
高藤さんはいつもと変わらず、オレに微笑みかける。
「おはよ…ございます…」
少し照れながらそう言うと、
「あなたが卓也くんなのね」
高藤さんの隣にいた女性に話しかけられた。
「え?」
「はじめまして、私、菅生龍の妻やってます♪」
「えっ…」
「キミイって言うの、よろしくね」
「ええええっ!?」
あまりに突然なことで、オレは大声を出してしまった。
また周りの視線を集めてしまう。
「あは、ちょっと向こうで話そっか」
キミイさんはそう言って、人混みの中をかき分けて行った。
オレたちも後をついて行く。