
359°
第6章 熱意と決意
教室に戻ると、行列とは別に人集りができていた。
「なんだ?」
オレと木下は人混みをかき分け、中に入っていく。
「あ、坂本ぉ~!!」
クラスメイトの男子が泣きついてきた。
「は?どうしたん…」
「だーかーらぁ、俺は五千円札出したって言ってんだろうが!」
その時教室の真ん中辺りから、男の怒鳴り声が響いた。
よく見ると、ギターケースを背負った数人の男たちが、レジ周りを取り囲んでいる。
「あの人たち、会計の時に千円札出してたのに、五千円札出したからお釣りが足りないって言いだしてさ…」
「え、金銭トラブル? でも確かに千円札だったんだよな?」
「うん、でも先にレジに閉まっちゃったから、証拠がないんだよ…」
「先生は?」
「さっき呼んだけどまだ来てないんだ…」
「…」
オレはキッと男たちの方を見据えた。
ここは、実行委員のオレがなんとかしなければっ…!
そう思い、彼らに近づいて行った。
