
359°
第6章 熱意と決意
「…みたいですね、オレもCD聴いてびっくりしました…」
オレは力無く笑う。
「でも、ユキより歌唱力がある。力強さがあるわ」
「え…」
「ユキの歌はね、どこか儚げで…いつも不安定だったの。まぁ、それが売りだったんだけどね…」
「…」
「だから声は似てるけど、全然違う。卓也くんの歌声の方が、ユキよりも何倍も人を惹きつけるものがあると思う。私は好きだな、卓也くんの声」
そう言うと、キミイさんはニッコリ笑った。
その笑顔が一瞬、女神に見える。
「…ありがとう…ございます…///」
オレは照れながら俯いた。
うわ…
好きだなんて…
そんなこと言われたら、
めちゃくちゃ嬉しいじゃないっすか///
しかもユキさんよりなんて…
「卓也くん」
ふと落ち着いた声が、前から響いた。
