
359°
第6章 熱意と決意
顔を上げると、目の前にケースを背負った高藤さんと蒼士がいた。
「お疲れ様、さっきは楽しかったよ」
そう言って柔らかい表情で笑う高藤さん。
オレは再びドキッとする。
「オレも…楽しかったです/// てか…高藤さん、オレよりもめちゃくちゃ歌上手いじゃないっすか!十分ボーカル向いてると思いますよ?」
「はは、ありがとう。久しぶりにソロで歌って緊張したよ。でも俺はあまり声量ないからね、ボーカルには向いてないかな」
「あは。どっちかっていうとボーカルは、マサみたいな目立ちたがり屋に向いてるわよねぇ」
そう言うとキミイさんは、ステージを見上げながらクスッと笑った。
つられてオレもステージを見上げると、マサはちょうどスタッフにガードされながら退場していく所だった。
周りにはマサのファンがまとわりついていて、完全にもみくちゃ状態になっている。
「全く…目立つのもいいけど、少しは有名人になった自覚を持ってもらいたいわよね」
「まぁ、そういう所があいつらしいというか…」
2人は苦笑した。
マサはほんとに目立つよな…
エネルギッシュというか…
そこに居るだけで、バリバリ存在感がある。
ギターの腕前だって
めちゃくちゃかっこいいし、
オレもあんなふうに歌えたらな…
