
359°
第6章 熱意と決意
「は~参った、参った、もう…」
その時、スネアが入ってるであろうハードケースを持ちながら、菅生さんがこっちに歩いてきた。
「龍ちゃん、お疲れ」
「…ったく、あいつ…マスクは脱ぐなって言ったのに、やっぱりやりやがった…!」
眉を寄せながら、菅生さんはマサの方を見る。
「うん、今それ話してたとこ」
苦笑しながらキミイさんが答えた。
「とにかくこんな状態じゃ、しばらく結果発表は先だな。巻き込まれる前にひとまず退散しようぜ」
菅生さんの言葉に全員頷き、オレたちは一旦外に出た。
楽器を車に置いてくると言って、高藤さんたちは駐車場に向かった。
オレとキミイさんは、うさぎを見に中庭に行くことにした。
「あ、うさぎちゃん、まだいた。良かった~♪」
円形の柵に囲まれたうさぎを見に、キミイさんが駆け寄る。
柵の中には、白、黒、茶色のうさぎが三匹いた。
「あれ?さっきより数減ってますよね?」
オレがそう言うと、
「ああ、数匹売れたんだよ」
近くにいたおじさんが笑顔で答えた。
