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第7章 芽生えた感情と嫉妬
「やけに協力的だったのは、それが目当てだったのかよ」
オレは声のトーンを落としながら喋る。
「だってまみちゃんとディズニーランド行きたいもん♪あ、賞金3万には手をつけないから安心して」
「当たり前だ!」
オレはハァッとため息をついた。
オレはすっかり踊らされてたんだ、こいつらに。
わざとオレの前で「バンドバトル」の話を持ち出してオレの気持ちを確かめて、ボーカルがやりたくなるように仕向けた…。
よく考えりゃ、順平がボーカルに興味持つこと自体、おかしかったんだ!
いい加減なあいつが、真面目にスタジオで練習なんてありえない。
あの時もオレに歌わせるために、わざとふっかけて…
二の足踏んでウジウジ考えてたオレがバカみてぇじゃん…
だけど…。
正直そこまでしなきゃ、自分の気持ちには気付けなかったんだよな…。
「どうしたの?卓也くん」
斜め前に座っている高藤さんが、オレに話しかけてきた。
「なんでも…ないですっ///」
オレは子供が拗ねたように口を尖らせる。
グラスに入った烏龍茶を、ごくごく飲んだ。