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第7章 芽生えた感情と嫉妬



高藤さん…


あなたにはほんと、参りましたよ。
最初から諦める気ゼロだったんですから!


その自信はどこから来るんですか?
狙った獲物は逃がさないみたいな…


あぁ…そうだ。
まるで、フクロウのようだ。
獲物が近付くまでジッと待っていて、音も立てずに羽根を広げて捕獲する…。


気付けばオレは、あなたの手の中に自分から入っていました…。


優しい顔をしてるけど、実はすごく野心家なんですね…。




「しかし、優秀賞を取ったバンドもうまかったよなぁ~名前なんだっけ?」


「DIAMOND CRAWですよ、ギターの人がうまかった」


菅生さんの質問に、蒼士が答える。


「ダイアモンドクロウか、一度対バンしてみてぇな」


「対バン?」


聞き慣れない言葉に、オレは聞き返す。


「ライブハウスで、その日一緒に出るバンドのことだよ。他のバンド目当てで来た客の前で演奏するのは、自分たちを売り込む絶好のチャンスになるからな」


「へぇ…」


「まぁ、俺たちはまだ無名状態だから、しばらくはそうやって客増やしていくしかないけどな…」


そう言って菅生さんは、手元にあったタバコに火を付けた。


「大丈夫っすよ~、REAL AND GLAYならすぐに有名になれますって!今日めちゃめちゃ盛り上がったし」


順平がポテトフライを食べながら言う。


「ばか、んな簡単に言うなよ…。オレだけ全くの初心者なんだからな」



そう、オレだけ…。

間違いなくみんなの足を引っ張るのはオレなんだorz




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