359°
第7章 芽生えた感情と嫉妬
こんな細い腰して、俺を誘ってんのか?
拓哉が夢中になるのもわかるな…
…てか俺たち、いつも好きなタイプかぶるよな…
…どうせお前も、拓哉を選ぶんだろ?
俺はフッと笑って、卓也の腰を人差し指でつついた。
卓也の身体はピクンッと反応する。
「寝てても反応すんのかよ、笑える」
「全く…僕と同い年には見えないな。子供っぽすぎる」
おい、蒼士。
そう言いながらも、お前の目つき、優しいぜ?
「あの…」
その時、隣からか細い声が聞こえてきた。
「あ、えーと、君は木下さん?」
そういえばこの子もいたんだっけ。
俺らだけで盛り上がって悪かったな…
「はい。あの、私もう帰ります」
「ああ、ごめんな?送ってやれねぇけど、気をつけて帰ってな」
「はい、ありがとうございます…」
そう言って彼女は、ペコッと頭を下げると帰って行った。
もう少し愛想があれば可愛いのにな、
卓也が好きなんだろうな。
「罪な男だぜ…」
「誰がです?」
「こいつに決まってんだろ」
俺は卓也の寝顔を見つめた。