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第7章 芽生えた感情と嫉妬

《拓哉side》



居酒屋を出てから数十分。
俺はずっと車の中で曲作りをしていた。



コンコン



ふと助手席の窓を叩く音がした。
こちらを覗く顔がひとつ。
その人物は、夜なのにサングラスをかけていた。



俺は曲作りに使った携帯を閉じると、車から降りた。



「打ち上げなら中でやってるから」



そう言ってその男の横を通り過ぎようとした時、



「待てよ、拓哉」



ガッと腕を掴まれる。



男はそのまま俺の腕を引っ張り、狭い通路の中に連れ込んだ。
そして壁際に俺を追いつめる。



「こうやって2人で会うのも、久しぶりだな」



壁に手をつくと、図体のでかい男はサングラスを外した。
鋭い瞳がうっすらと見える。



「……こういうことはやめろって言ったよな、マサ」



俺は顔色ひとつ変えず、マサを見上げた。



「つれねぇな。せっかく拓哉のために唄いに来たってのに…」



そう低い声で囁くと、マサは俺の顎をクイッと持ち上げた。




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