
359°
第7章 芽生えた感情と嫉妬
「こないだのライブ、見に来てくれたんだな」
「…約束だからな」
「あの曲…拓哉のこと想って書いたんだけど、 気付いてくれた?」
「…」
あの曲とは、《Escape》のことだ。
卓也の好きな…
「俺は諦めないから…」
そう言うとマサは、顔を近づけて俺にキスをしようとした。
それを避けようとした時…
カシャッ!
すぐそばで、眩しい光と共にシャッター音が響いた。
「!」
俺とマサは同時に振り向く。
が、もうすでにそこに人影はなく、パタパタと走っていく足音だけが聞こえてきた。
「くそっ…」
マサはすぐさまその後を追う。
俺も追いかけようとしたが、車に戻りエンジンをかけた。
まさか、あんな所を撮られるなんて…
俺の胸がざわつき始める。
あんなものが世に出たら、
俺たちは終わりだ…
まだスタートラインにも立っていないのに…!
俺は奥歯をギュッと噛み締めた。
