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第7章 芽生えた感情と嫉妬

《マサside》



「はあっ…はあっ…」



くそっ!
足の速い奴だ。
追いつけそうで追いつけない。



今日はゴリゴリの皮ブーツ履いてるからな…
走りづらくて仕方ない。



だけど向こうもかなり体力消耗してきたみたいだ。
距離が近付いてきてる。



俺はゴギブリ並みにしつこいからな…
絶対、シッポ掴んでやるよ!



歩道を走っていると、車道を走る一台の車が俺を抜いて行った。
拓哉の車だ。



ライトを照らした先には、走っている女の後ろ姿がハッキリと見える。



…女?
盗撮したのは女なのか?



女は自分を照らすライトから避けるように、狭い路地へと入って行った。



逃げるってことはやっぱりあの女が…!



俺は力強く足を踏み込んだ。



路地に入ると、暗闇の中に動く影があった。
俺は腕を伸ばし、女の腕を掴む。



「おい、お前!!勝手に写真撮ってんじゃねーぞ!!」



俺が怒鳴ると、女はビクッと身体を震わせた。



「…ご、ごめ…なさ…」



荒い息遣いと、か細い声が聞こえる。



「…ざけんな」



俺は腕を掴む手に力を入れた。



「いっ…痛い…やめてください…!」

「それならさっき盗撮した写真を消去しろ」

「…っ…」

「早くしないと、この細い腕をへし折るぞ」

「…」




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