
359°
第7章 芽生えた感情と嫉妬
女は観念したのか、もう片方の手で携帯を開けた。
パッと光が周りを照らす。
よく見れば、女は幼い顔をしていた。
…どこかで見たことある?
女が素早い動きで携帯のボタンを操作すると、パッと携帯の画面に俺と拓哉の姿が写った。
「!」
やっぱりハッキリと撮られている、
俺が拓哉にキスを迫っている姿が…。
「早く消去しろ」
俺は冷静に言い放つ。
が、女はその画面を見つめたまま微動だにしない。
「おい…」
「マサって、やっぱり噂通り…ホモだったんだ…」
「!」
「これって、スクープ…だよね…?」
「…んだよ、俺を脅す気か」
俺は更に手に力を込める。
「痛っ…!」
女は顔をしかめた。
が、肩を震わせて笑い始める。
「ふ、ふふ…ほんとにマサは、乱暴だね…」
「あ?」
「デュランなんて、どこがいいんだか…」
「おい、人のバンドけなすなよ」
俺は女を睨み付けた。
「あんたがやらないなら俺がやる」
そう言って俺は、女の携帯を奪おうとした。
