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第7章 芽生えた感情と嫉妬





「待って!ね、取引しない?」


「あ?」



女は携帯を持ちながら髪をかき上げ、俺を見上げる。



…やっぱりどこかで見たことある…



「…取引?」

「うん。マサは、拓哉さんのことが好きなんでしょ?」

「! なんであいつの名前を知ってんだ?」

「私、何でも知ってるよ。だって坂本卓也の彼女だもん」

「……なんだって?」




坂本卓也…

REAL AND GLAYの新ボーカル…




「あ…」




思い出した。
この女…
アリスの森で卓也の隣にいた…




「女の勘なんだけどね、拓哉さん…坂本くんのこと好きみたいな感じなんだよね」

「…」

「だからハッキリ言って邪魔なんだよね…」

「…」

「坂本くんのことは応援してるけど、あの人は嫌い」

「…それで、俺にどうしろと」



女はクスッと笑った。



「簡単、あの2人を引き離せばいいの」

「!」

「私は別に坂本くんに有名になってほしいわけじゃないし、バンドなんてどうでもいい。でも坂本くんは、拓哉さんに感化されつつある。だから拓哉さんさえ居なくなれば…」

「俺が拓哉をデュランに引き抜けばいいってことか」

「…そういうこと。こっちの情報は逐一流すから、協力すればうまくいくかも?」

「…それは無理だな」



俺は苦笑した。




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