
359°
第7章 芽生えた感情と嫉妬
ピリリッ ピリリッ
突然携帯が鳴って、俺はハッと我に返った。
ベルトを外そうとしていた手で、自分のズボンのケツに入れてた携帯を取り出す。
「…はいよ」
『龍、今どこにいる?』
拓哉の声だ。
「ああ、みんな帰って…俺と卓はトイレにいる」
『そうか、大丈夫なのか?』
「ああ…まだ酔っ払ってるけど問題ない、今行くわ」
若干後ろめたい気持ちで、俺は携帯を切った。
「…何やってんだ、俺…」
拓哉から電話がなければ、マジでヤってしまうとこだった。
名残惜しく卓也の乱れたシャツを整えると、俺は鏡越しに卓也を見つめた。
卓也の頬は紅潮し、口は半開き、目はトロンとしている。
…このままの状態で連れてったら感づかれそうだな…
「卓、ほら、顔洗え」
「…ん…」
卓也は素直に従い、顔を洗い出す。
…よし、さっきよりはマシになったな。
顔を洗っても相変わらずボーッとしている卓也を連れて、俺はトイレを出た。
さっきのことは、覚えてなきゃいいんだけどな…
