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第7章 芽生えた感情と嫉妬



ピリリッ ピリリッ



突然携帯が鳴って、俺はハッと我に返った。

ベルトを外そうとしていた手で、自分のズボンのケツに入れてた携帯を取り出す。



「…はいよ」


『龍、今どこにいる?』



拓哉の声だ。



「ああ、みんな帰って…俺と卓はトイレにいる」


『そうか、大丈夫なのか?』


「ああ…まだ酔っ払ってるけど問題ない、今行くわ」



若干後ろめたい気持ちで、俺は携帯を切った。




「…何やってんだ、俺…」




拓哉から電話がなければ、マジでヤってしまうとこだった。



名残惜しく卓也の乱れたシャツを整えると、俺は鏡越しに卓也を見つめた。



卓也の頬は紅潮し、口は半開き、目はトロンとしている。




…このままの状態で連れてったら感づかれそうだな…




「卓、ほら、顔洗え」


「…ん…」



卓也は素直に従い、顔を洗い出す。




…よし、さっきよりはマシになったな。




顔を洗っても相変わらずボーッとしている卓也を連れて、俺はトイレを出た。



さっきのことは、覚えてなきゃいいんだけどな…





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