
359°
第7章 芽生えた感情と嫉妬
座敷に戻ると、なぜか険しい顔をして、拓哉が座って待っていた。
後ろめたい俺は、その表情を見てドキッとする。
「…もう曲作りは終わったのか?」
「ああ。それより卓也くん、大丈夫?」
拓哉の表情が和らいだ。
俺の隣で相変わらずボーッとしている卓也に、優しく声をかける。
「ん…」
卓也は目をこすりながら、眠たそうに答えた。
「送ってくよ」
優しい眼差しでそう言うと、拓哉はパソコンが入った鞄を持って会計に直行する。
会計を済ませると、店の前に停めていた車のドアを開けた。
「龍も送ってくから」
「…おう」
俺は卓也と一緒に後部座席に座る。
座った途端、卓也がコテンと俺にもたれかかってきた。
「…」
あんなことされたってのに、幸せそうな顔して寝てやがる…
人の気も知らねぇで…
