
359°
第7章 芽生えた感情と嫉妬
「で、その一般人はどんな奴だったんだよ?」
「女性だった…」
「女!?マジかよ…顔は?」
「…俺は見てない」
「そっか…」
…詰めが甘ぇな。
俺だったら、二度とそんなことしねぇように首根っこひっ捕まえて、「あんたとのハメ撮り動画をタップリ保存しといてやろうか?あーん?」って脅すのに(笑)
そうでもして弱味握らねぇと、今はネットで広がるからな…。
例え証拠がなくても嘘でも、噂が広がれば真実に塗り替えられてしまう。
「…まあ、でもスキャンダルを逆手に取ればいいんじゃねぇの?REAL AND GLAYの名が知られりゃ儲けもんじゃね?」
「俺は嫌だな、そんなことで有名になりたくない。ちゃんと音楽で勝負したい」
「…まぁ、できりゃそれが一番だけどよ…」
「ゲイだとレッテル貼られて見せ物になるなんてまっぴらだ。それに…」
「それに…?」
拓哉は一呼吸置く。
「……卓也には知られたくない」
「…」
…それが一番の理由か。
俺はハァッとため息をついた。
