
359°
第8章 過去と現在
「あ…それより、どうだった?うまく撮れてたでしょ…」
キミイがこっちに振り向いた瞬間、俺はキミイの身体を抱きしめた。
「…ごめん…」
そう呟きながら、強く抱きしめる。
「…なんで謝るの?私は応援してるよ?プロになるのがずっと夢だったんだから…」
キミイは俺の背中に、そっと両手を回した。
「…ごめん…」
かすれた声で、俺はもう一度呟く。
「…私のこと、心配してくれてるの?ありがとう…でも聞いて?龍ちゃんの夢は、私の夢でもあるのよ?だから、早く有名になって、武道館に連れて行きなさいよねっ」
そう言うとキミイは、俺の背中をポンポンと叩いた。
「…」
俺は唇を噛み締める。
本当の理由は言えない…。
こいつを傷つけちゃいけないんだ…。
