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第8章 過去と現在


「あ…それより、どうだった?うまく撮れてたでしょ…」




キミイがこっちに振り向いた瞬間、俺はキミイの身体を抱きしめた。



「…ごめん…」



そう呟きながら、強く抱きしめる。



「…なんで謝るの?私は応援してるよ?プロになるのがずっと夢だったんだから…」



キミイは俺の背中に、そっと両手を回した。



「…ごめん…」



かすれた声で、俺はもう一度呟く。



「…私のこと、心配してくれてるの?ありがとう…でも聞いて?龍ちゃんの夢は、私の夢でもあるのよ?だから、早く有名になって、武道館に連れて行きなさいよねっ」



そう言うとキミイは、俺の背中をポンポンと叩いた。



「…」



俺は唇を噛み締める。




本当の理由は言えない…。
こいつを傷つけちゃいけないんだ…。









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