
359°
第8章 過去と現在
「…あ、兄貴」
部屋から出てきたのは、僕より長身でルックスのいい、弟の蒼生(あおい)だった。
「お兄さん?こんばんわぁ~」
蒼生に続いて、頭の悪そうな茶髪の女が顔を出す。
「へぇ~やっぱり兄弟だからか、顔似てるね~イケメンじゃん」
「そうかぁ?似てねーよ」
ふん、と蒼生は鼻で笑う。
「あはっ、蒼生に飽きたらお兄さん狙っちゃおうかなぁ」
「やめとけ、兄貴はお前みたいな馬鹿女、嫌いだから」
「え~、あたし馬鹿女?蒼生ひど~いっ」
女は頬を膨らます。
その姿は馬鹿女にしか見えない。
僕は呆れながら、部屋の中に入ろうとした。
