
359°
第9章 funky&crazy
「相変わらず勝手な奴…」
はあ、とため息を吐いた後、卓也は腕を伸ばしながら再びベッドに倒れ込んだ。
天井を見つめながら、昨夜の出来事を思い出す。
(あのCDを聴いた時…
ユキさんが高藤さんをすごく大事にしてたってことが、ひしひしと伝わってきた。
きっと2人は、固い絆で結ばれてたんだ…)
初めて会った時、拓哉はすごく驚いた顔をしていた。
あれは、デュランのチケットが手に入ったからじゃない。
卓也の声がユキとそっくりだったからだ。
(やっぱり高藤さんは、ユキさんの面影を追ってオレを…)
卓也はグッと歯を食いしばった。
(なのに、なんで…好きになっちゃうんだよ、オレはっ…!)
