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キレーな顔した狼さん。

第14章 11匹目

「…あー…もー………」

グイっ──
「え、ちょっ」

ギュツ

「かわいすぎ…」

ドクンっ─

腕を引っ張られて、気付けば瑠樹に
スッポリと包まれていた

「……」

その瞬間、一気に安心感が俺をおそう

あ…ヤバ…本気で泣きそ……

泣いてもいいか……な…

「汐里さん?」

「え…」

気が緩みきりそうになった時…まさにその時……

俺の目の前には…何故か今日、何度目かの瑠花の姿が……

「えええっ!?」
ドンッ──

ほぼ反射的に瑠樹を押し返す

あ、やば…

「ちっ…」

え?

瑠樹…舌打ち?

押し返した事が、何となく申し訳なく感じて瑠樹をチラ見すると…

「瑠花…お前、空気読めよ邪魔なんだよ!…せっかく汐里の泣き顔…くそっ」

「んなっ……」

瑠樹の心底悔しそうな顔と苛立ち染みた声……そして、驚きの発言に俺は…あんぐりと口を開けた……

そりゃもう、間抜けな顔でしたでしょうよ…

「お兄ちゃん……もーっ、話は終った?
ったく…いきなり寄り道しようって言ったと思ったら…こーゆー事でしたか…
さっ、帰りますよ!早く車に!!」

「あーっ、わーったよ!うるっせーなぁっ」

あんぐり状態の俺を、清々しいくらいにスルーしていく2人

ガシガシと頭を掻きながら瑠樹は俺に背中を向ける

そして、少し歩いて首だけ俺に向けると…

「じゃ…また明日?…んー…やっぱ連絡する……汐里?寂しくなったら、いつでも読んで?胸、貸すからさ」

と薄く笑いながら言って、家の前の…真っ黒なリムジンへと歩いていった

なっ…んなっ…

さらに、お口あんぐり

「……汐里さん?どーしたんですか?
お口……あんぐりしてらっしゃいますよ?」

小首を傾げてキョトン顔の瑠花

「し、しってるよ!…そんなこと…」

あんぐりは…指摘されると、逆に恥ずかしいんだな……

1つ、要らない事を学んだ

「あの……汐里さん」

「…?はい…」

キョトン顔から急に真面目な顔つきになった瑠花は、静かに俺へ話かける

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