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キレーな顔した狼さん。

第15章 12匹目

瑠樹は大きな溜め息と共に項垂れる。

「……」

「……」

「…わかった…戻る……」

しばしの沈黙の末、少し落ち着きを取り戻した瑠花はポツリと言った。

「ああ、そうしてくれ。」

しっしと、まるで犬でも追い払うように瑠樹は手をふって、どこまでも瑠花を遠ざける。

「…っ」

瑠樹の行動に、瑠花は一瞬たじろぎ、
口を開いた。

「ふ、ふんっ。別にいいもん!
今は引くけど、帰りはお兄ちゃんと帰るから…
必然的に汐里さんとは別々なんだしっ!」

「……わかってるよ」

そこまでの二人の会話を聞いて、
完全に出るタイミングを失った俺は耳を疑う。

一緒に…帰る?って事か?

なんで?瑠樹が…瑠花と?

色んな疑問も、不満も…
次々と浮かんでは頭の中を埋め尽くす。

予想は…してた。
どうやら今日の俺はツイてるらしいからな…。

いい意味でも、

悪い意味でも…。

マサの話を聞いた時から、
"もしかしたら"とは思ってて。

転校してきたのは…
…瑠花なんじゃないのかな?って…

でも、そんな事を信じたくなんて無くて。

「ハハっ…ほんと、ツイてる…」

乾いた笑いを浮かべて、呟く。

自分を必死に取り繕う。

そーでもしないと、自分というモノが
粉々に崩れてしまいそうで…

壊れてしまいそうで……─

たかが、今日一緒に帰れないだけで
こんなになるなんて…

どーかしてる。

だけど…それ以上に、
瑠樹が、自分より瑠花を選んだみたいに思えてしまう。

それが、一番…今の俺には重かった。

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