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キレーな顔した狼さん。

第15章 12匹目

「……っ」

こちらに向かって
歩いてくる瑠花の足音。

それを聞くと、俺は無意識にUターンを
して階段をかけ降りていた。

「はぁっはぁっはぁっ」

一気に階段をかけ降りる。

─ドンッ

「うわぁっ」

階段の途中、
前を見ていなかった俺は、誤って誰かにぶつかってしまった。

「す、スミマセンっ」

その人の顔も見ずに頭を下げる。

「あ…いえ…」

ビックリした様な男の人の声。

その声に続いて、その人が去っていく足音が聞こえる。

「…ハハっ…
…にやってんだ…俺……」

頭を抑えながら、考える。

きっとアイツは、俺が来るまで屋上で待ってるだろう。

いつまでも。

そう…
あの時のように。

初めて瑠樹に襲われた日から。

瑠樹のことを避けに避けまくる俺を、
瑠樹は辛抱強く…屋上で待っていた。

それに…瑠樹は態々、
俺のために瑠花を遠ざけた。

その事実は変わらない。

例え、今日ぐらい一緒に帰れないからってイジケて…

俺はアホかって!

だったら尚更、昼の二人きりの時間が
大事だろーがっ!

「…もどろ」

「汐里さん…?」

「え…」

そこまで考えた所で、
後ろから俺の名前を呼ぶ声がした。

それに、反射的に振り替える。

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