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キレーな顔した狼さん。

第8章 6匹目

どうやら瑠樹もお腹は空いてきていたみたいで助かった

少し歩くと、安くてたくさん食べられるのに旨いという男子高校生には嬉しすぎる究極のファミレスがある

さすがに人前ではマズイとどちらかとわず、手を離す

離れた手が寂しそうに温もりを求めるが俺はそれに必死に気づかないふりをした

ウィーン

俺たちが店に入った途端、ヒソヒソとした話声が耳に届く

「ねぇ、あの二人ヤバくない?」「ねぇー、ちょーヤバイっ」「どうする?声かける?」「えー!」

なにがヤバイんだよ…

俺や瑠樹を見る女達の目は、何処か色気を持っている
男達は羨望の眼差しか、じとーっとした視線かのどちらかを俺達に向けていた

「いらっしゃいませーっ!2名様ですか?お席にご案内します!」

そう台本通りのセリフを言ってくる女店員、頬を赤らめてなぜか誇らしげな顔をしている

顔に「話せていいでしょーっ」
と書いてあるのがもろ分かりだ

瑠樹も気づいているだろうに

「ありがとうございます」

などと表の笑顔でお礼を言う

……一瞬、店内の空気が揺れた気がしたが、気のせいでは無いだろう

店中の視線を一身に浴びながら俺達は席につく

「何くおっかなー」

俺は学校でも興味ない奴は割と無視するし特に視線は気にならない

…まぁ、ただ単に無駄に労力を使いたくないだけなんだけど。

でも、俺達は動物園の動物じゃねんだ。金とるぞ。

ぐらい思ったりはする。

つか、動物園ですら金とるっつーの

なんて思っていると瑠樹が

「汐里に着ぐるみでも着せて来ればよかった」

と、メニュー表を見ながらいってきた

逆に目立つだろっ!
っつー突っ込みは敢えてしない事にする

「なんでだよ?」

俺もメニュー表を見ながら聞く

「だってさー、俺以外の奴が汐里の事見るとか許せねーんだもん」

その後に「汐里の事とじ込めちゃいたい」と、笑顔で続ける瑠樹に少しながら恐怖心が沸いた。







「あーっ、うまかったあー」

美味しい食事が終わり、会計へ歩こうとすると、瑠樹に手を捕まれた

「なんだよ?」

「俺が払うから、汐里は外でててくれる?」

「はあ?いいよ、これくらい自分で払う」

「ダメだよ。どーしてもっつーんならまた今度奢って」

「えっ…ちょっ」

ウィーン

「ありがとうございましたー」

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