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キレーな顔した狼さん。

第8章 6匹目

来た時と同じ音と店員のお決まりの声に背中を押され、気づけば店の外に出されていた。

しかたなく瑠樹の事を店の外で待っていると

ドンッ

と、胸で衝撃を受け止める

「……?」

どうやら緩く巻いた長い黒髪からするに女だとは思うが顔を俺の胸に埋めているので顔は解らない

「あの、退けてくれません?」

一向に退けようとしない女に痺れをきらして声をかけると女は顔を上げた

「!?」

顔からして俺ぐらいの歳だろう事は想像できる…できるが俺が驚いたのはそのせいじゃない

瑠樹に…瑠樹にそっくりだったからだ

「人に…人に追われてるの」

「っえ…」

「助けてちょーだい!」

「やっ、はあ!?」

女は泣きながら俺の腕に腕を絡ませて俺の体に隠れた

ーーーーーーーーーー

まぁ、そんなんでバレないはずも無く
今の状況にいたるわけだ

「しらばっくれんなっ!おめぇがソイツの男なんだろ!?」

「はあ!?だからちげーって言って…」

「うるさいっ!黙れぇぇぇえっ!」

ヤ〇ザ顔の男が叫びながら腕をふり下ろす

「ちょっ…」

ヒョイッ

それを交わしながら後ずさる
女は未だに俺の腕にしがみつきながら俺と一緒に後ずさる

ヒョイッヒョイッ

一応、運動神経は悪くないのでギリギリで交わしていると

ツンっ
「やべっ…」

知り合ったばかりの女とタイミングなど合うわけがなく足が躓き後ろに倒れそうになる

今だとばかりに男も思い切り手を振り上げた

殴られるっーー…

突然すぎて手で受け止める事もできず
覚悟して目を瞑る

トンっ
「へ?」

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