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キレーな顔した狼さん。

第8章 6匹目

バシっ

急に揺れていた視界が止まり、
目の前まで来ていた男の手が誰かの手によって捕まれた

「大丈夫?汐里っ」

俺(と女?)を受け止め更に男の手も
間一髪で止め、心配の言葉っつーもんまで投げかけてくるのは……瑠樹だった

ヤバイな…俺には今のお前が酷くイケメンなナイトに見えるよ…

「う、うん…大丈夫…」

「おっと…」

安心してしまい体の力が一気に抜ける

それを瑠樹は支える

「で?汐里になにしてんだよ、お前ら」

俺を支えたまま、瑠樹は
信じられないくらいの冷たい声で男達に話かけた

瑠樹…こえー…

俺自身そー思ったんだ
こいつらはそーとーだろう

「な、なんだお前……悪いのはそっちだろーが!」

「そ、そーだそーだぁ」

「ゆっちゃんは以外と撃たれ弱いんだからあんま脅すなよぉ!」

……ゆっちゃんて…ぷっ

後ろの2人が……いや、1人が?
真ん中の奴…つまりゆっちゃん(笑)に続いて、いかにもな野次を飛ばす

「はぁ?何がだよ?」

瑠樹ぃ、だからこえーって!

そんな俺に構わずゆっちゃん(笑)は言う

「その女がなっ、俺にぶつかって来たくせに謝らねーから…」

「え!?そんなこと!?」

下らなさすぎる理由に、つい声を出してしまった

「そんなことだ?……まあ確かに、それだけだったら俺も"そんなこと"ですんだかもな…でもよ…」

ごくっ…

あまりにも深刻な顔をして話すから
俺も緊張気味に唾を飲み込んだ

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