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キレーな顔した狼さん。

第10章 7匹目

この時はまだ、瑠花の不自然な噛み方も不自然な挨拶も…偶然だと、気にする事も無かった

「おい…」

「…っ!?」

自己紹介も終わったとこで、少し忘れ…いやっ!忘れてはいないけど!!
少し話に不参加だった瑠樹が声を…物凄い低い声で声を掛けてきた

「話は終わりましたかー?」

「は、はい!」

なっ、何だ!?何でこんなに不機嫌なんだ!?謎だ…謎すぎるぞ!瑠樹!!

「…なら、さっさと瑠花はあっち行け!俺達はまだデートの途中だ!」

「あっ、おま」

デートって、そんな堂々と…

「デート…」

「え…」

デートと呟く瑠花の顔は…何だかとても切なそうで、正直、胸がチクりと少し痛んだ

瑠樹に顔が似ているからか?

「早く!もー、汐里っいこ!」

「え…う、うん」

「あっ…」

強く俺の腕を引きながら歩く瑠樹

だんだんと開く瑠花との距離

名残惜しそうに声を出す瑠花

瑠花の視線の先にいるのは……瑠樹?

「汐里!!もー、アイツに近づいちゃダメだよ!」

「え?」

「返事は!」

「はいっ」

「うん!よろしい!」

嬉しそうに笑う瑠樹に、何だか酷くモヤモヤした気分になる

「あーあ…けっこう人だかり出来てたねー」

「え、え?」

「ほら」

こんな気持ちは気のせいだ!

頭をブンブンと降りながら
瑠樹の言葉を確かめるため周りを見渡した

「うっわ…」

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