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美人妻は性欲旺盛っ!

第7章 実家





「優しい彼氏
ゆきほどのイケメン
さぞ浮かれてたんでしょうねぇ
そこで幸せ
使い切っちゃえばよかったのに」



 私は膝に手を乗せ
 胸の奥の痛みをこらえていた

 歯ぎしったゆきくんが
 隣から手を握ってくれる



「ゆきは片倉右京のために
女と切れて自分を変えて
色々なコトをしたのに
その女は何もしてくれなかった
フるコトさえ
キスまでこぎつけて
ゆきは子供みたいに照れて
舞い上がった様子で教えてくれた
でも次の日には死んでた
やっぱり彼氏がいい
そんな風に言われた
なかったコトにさせられた」



 首が締められたみたいに
 呼吸が浅くなって苦しくなる



「最悪だわ
きっぱりフられたほうが
どんなに救いが得られたか
もう悲惨の域よ
ゆきは傷ついても頑張るし
何度か進展しても
結局最後にはごめんなさい」



 痛い、つらい
 ゆきくんの手だけが
 私に感覚を与えてくれる



「本気で落ち込んだゆきを
一度でも見たらよかったのよ
考え変わるから
価値観が変わるから
本気でぶつかって駄目だった
ズタボロ感は男も女も同じ
見込みがなくなるまでは、って
馬鹿みたいに本気になって
必死にアプローチして
それでも彼氏を優先される」



 彼氏。あの頃
 私には彼氏がいたのだ
 初めてできた大切な彼氏
 私はとにかく
 彼に嫌われないように
 躍起になっていた

 でも…反論できなかった
 ここで言い返すコトは
 ゆきくんを否定するようで
 どうしても言えなかった
 今大好きなのはゆきくんだから



「ゆきほどのイケメンが
毎夜マスターベーションするの。
わからないでしょうね
男の性事情なんて
想って想って溜まって溜まって
たった数度の想い人とのキス
それだけを思い浮かべながら
毎日虚しく発散する
哀れを通り越して可哀相だったわ」



 っ!

 私はばっと
 ゆきくんを振り向いた

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