美人妻は性欲旺盛っ!
第10章 元カレ
でもその時間の流れのおかげで
今こうして普通に話せてる
「ね、聞いてもいい?
聞きにくいコト」
私はいきなり切り出した
しょうくんもある程度
予想していたのか
「じゃあ聞かないで
多分答えられないから」
用意してたようにニコッと笑う
お互い顔を近づけて
笑顔を演じた
「じゃあ私がずっと
言いたかったコト言ってい?」
私は真剣な表情になる
しょうくんもそれに気づくと
聞くだけなら、と
真面目に聞く態度をとった
行き交う人々だけが
沈黙の中で動いている
「………今だから言うけど
あの時、勝ち目がないからって
しょうくんに
身を引いてほしくなかったよ」
一方的にフられて
不完全燃焼だった私の想いが
くすぶっていた後悔が
今だけ私をあの頃に戻す
「私はただ
そばにいてほしかった
頑張ってほしかった
私が揺れてるって
わかってたんだろうけど
それでもそばにいてほしかった
勝つにしろ負けるにしろ
私を想ってくれてるなら
最後まで戦ってほしかったよ
ううんその姿を見たかった」
初めて好きになった人
初恋の人
どこまでも特別な人
だからどうしても言いたかった
あの頃の私の
正直な気持ちを
「ずっと悔やんでた
あの時、一言でも
私が頑張ってって言えてたら
また何か違ってたのかなって…」
そうしたら今とは違う結末に
なっていたかもしれない
「責めてるわけじゃないの
ただ後悔してた
こんな終わり方嫌だって
私が悪いんだって
たくさんたくさん泣いた
一言嫌いって言われたほうが
ずっとマシだったな
結構引きずったんだよ、ばか」
「…」