美人妻は性欲旺盛っ!
第20章 回想
次の日
私は恐る恐る図書室を訪れた
昨日、人の彼氏をぶん殴っておいて今更どの面下げて顔を見せられるのだろうと私は思った
いるわけがない
私はまだ先輩を怒ってる
一晩やそこらで怒りが収まるわけがないし、先輩とて会えば私に罵倒されるのがわかっているはずだ
だから
いるわけがないと思った
でも…
先輩はいた
初めて会った時のように窓の外をぼぉっと見ていた
私は驚いた
なんでいるんだろう
先輩に
もうきてくれないかと思った
と言われて
そうだよ、むしろ自分こそなんできたんだろうと思った
たとえば、彼氏が先輩に突っかかってそのまま先輩が手を出さなかったらどうなっていたんだろう
多分私は、彼氏が悪者になってしまってもやもやしてたと思う
いくら気に入らないにしろ、感情に任せて先輩を殴るのは間違ってる
私はあの瞬間、先輩が悪者になってあろう事かほっと安心したのだ
彼氏が悪者にならずに済んで
悪いのは先輩
そう思う事で、自分の中の正義みたいなのを守った
あの時、先輩は殴られたにも関わらず確かに私と目が合った
私に、彼氏にあなたが間違ってるよと言う勇気はなかった
たとえ彼氏が悪いとしても、嫌われたくないから彼を否定するような事は言えなかったと思う
だからきっともやもやして、悪くても彼氏の味方して、複雑な気持ちを抱えていた事だろう
先輩にはわかっていたのだ
私が弱虫で付き合ってるのに言いたい事も言えない、そして私の目に先輩が悪者になってくださいという身勝手な思いがあったのを
私の浅ましい気持ちを
先輩は汲んでくれた
暴力的、という先輩を犠牲に
私と彼氏の仲は
より強く結びついた
きっとちょっとやそっとの事じゃ切れたりしない
初めての彼氏だもん
大事にしたい
小さい…
人間として小さい
恥ずかしかった、自分が
とても
誰にも言えやしない
死にたい
こんな器の小さい自分が
今ものうのうと先輩の前に顔を出して
ごめんな、と
先輩に謝らせていた