美人妻は性欲旺盛っ!
第20章 回想
コート上の先輩は
速くて、強くて、高い
けれど、そんな圧倒的なフィジカルを持つ先輩が、先立ってバスケ部の主将をも1対1で破った先輩が、華奢な女子に完封されていた
悪夢のような現実
でも苦悶の表情を浮かべる先輩が何よりも現実を表していた
あの先輩が全力で当たってるのに手も足も出ない
「怪物よ
頭は全国模試の20番を切り
校内では当然のように1番
ゆきちゃんはあの子がいるから
1番になれない
その上運動能力は…」
先輩がチャージしても、黒髪の女子はバランスを崩し事なく耐え、長身の先輩が跳んだ高さに、自分も跳んでボールを弾いた
異常なほど強い足腰
馬鹿げた跳躍力
全身のバネと身軽な敏捷
先輩を上回るくらい速くて、抜群のシュート力を誇り、また視野が広く味方に最高のパスを出した
「ゆきちゃんが彼女を
ディフェンスしてるから
あの程度の失点で済んでるの
今までのチームは
誰も彼女を止められなかった
すごいんだよ
ゆきちゃんは彼女を防いでる
彼女も攻めあぐねてる
それでもあの子のほうが
一枚も二枚も上手」
点差はじりじりと離され、時間はどんどん無くなっていく
総合的な力に優劣はないが、エースの差がそのまま得点差になっていた
先輩があの黒髪の人に勝たないかぎり勝利はなかった
「あんな宣言しといて
カッコ悪いわね」
私は藍さんを振り返った