美人妻は性欲旺盛っ!
第20章 回想
「最高にカッコ悪いよ
あれだけ大きくきっといて
優勝できませんでした、って
ふふっ…
バカみたいにカッコ悪い」
ホント羨ましい、と呟いて藍さんは声を出して先輩を応援した
「あんな怪物に
勝てるわけないのにね
ゆきちゃんだって
自分でもわかってたはずだよ」
だったらなんで、と思った
なんで優勝できないってわかっててあんな事言ったんだろう
「そんなの
あなたにカッコ悪いとこ
見せたかったからに
決まってるじゃない」
どくんと心臓が高鳴った
先輩はカッコ悪かった
女子相手に汗だくになり、必死なのが見ていて痛かった
時間は残り僅かで、仲間ですら勝ちを諦めているのに、一人で頑張る先輩のカッコ悪さったらなかった
見苦しくて
みっともなくて
でも、本当にカッコ悪かったらこんな気持ちにはならなかった
胸の上、喉の奥が震えた
すぐそこまで頑張ってという言葉が出かかる
先輩は頑張ると言い、恥を晒す事も構わずやり通そうとしてるだけだ
果敢に戦う姿勢に、一緒に戦う仲間が誰もいない先輩に、物理的に負けが確定してるのに戦うのをやめない先輩に私は涙が出そうになった
あの、諦めて歩いてる味方を、今すぐ殴り飛ばしてやりたかった
勝ちたいのにチームメイトにも見放された先輩がそれでも一人で足掻く、それのどこがカッコ悪いのか
勝つために必死になる、それのどこが悪いんだと目頭が熱くなる
どこかの誰かが、見てらんないねと言ったのが聞こえて
私はカッと怒りが沸いた
残り一分を切り、勝敗を決してるにもかかわらず私は目を強くつむってお腹の底から叫んだ
「……っ
先輩っ頑張れぇぇーーーー!!」