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美人妻は性欲旺盛っ!

第21章 背水







 ゆきくんは私を包み込むように優しくぎゅっと抱き締めた





「右京…ごめん
俺できそうにない」

「えっ!?」





 別に、そりゃ少し残念だけど、それよりもゆきくんの様子が変なのが気がかりだった





 やっぱり変だった





 気分じゃないなら、ゆきくんは普通にしたくないと言う





 それを、できそうにない…?





 あまりにも変だと思った





「ね、私はいいの
何かあった…?」

「右京…俺は…」





 ゆきくんの背中を撫でる

 私を抱き締めてる人が、とても弱々しく怯えてるから、私は安心させるように優しく包み込んだ





「私には話せない?」

「………」

「じゃあ聞かないよ
代わりにこうしててあげる」

「…右京、俺…
もう…だめかもしれない」

「だめじゃないよ
ゆきくんはだめじゃない
私がついててあげる
どうしちゃったのかなうちの人は
何か嫌な事でもあったのかな…?」





 ゆきくんはそのまま、私に抱き締められて寝てしまった




 水…?泣いてる…?





 様子が変なのはわかっていた

 何かとても、ゆきくんを根底から覆すような一大事があったのだ




 それだけはわかった





 …支えなきゃと思った
 ようやく私の出番なのだ
 私は今まで何から何までゆきくんにもらうだけだった

 婚約も式も生活も何もかも

 自分から何かをした事は数えるほどしかない

 楽ばかりしてきた





 楽であれば幸せかと

 私は私以外の人に問いたい





 睡魔に襲われ、目をつむる

 そうすると今までの事が鮮やかに思い出された





 私は高校一年の最後、張り出された成績上位者で一番を取った

 中学生になった弟が深刻なイジメに遭ってる時も、苦しくてゆきくんを頼って相談した

 つらい時も悲しい時も私みたいな女にずっと寄り添ってくれて、信じられないほど大事にされてきた





 いつもいつも愛してくれた

 私の大切な人





 この人を守るためならどんな事だって怖くなかった

 守る、と強く思った












 けれど私はこの時の発言を大いに後悔する事になる

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