美人妻は性欲旺盛っ!
第21章 背水
私の鋭い眼光も、沙緒里さんの前ではそよ風のように流される
「誰に怒ってるの?
私に?ゆきに?
それともこの差出人?」
「自分にです…」
沙緒里さんはふっと微笑む
「あんたがどこの誰に
セックスで寝取られたってね
あの子は戦うわよ
あんたがマジで好きだから
相手がどんな男だろうが
ぶっ潰して奪り返して
何度でも手元に置くわよ
俺のちんぽなしじゃ生きられない
って所まで快楽づけにしてね」
もうなってる
「そんなゆきが
なんで潰れちゃったのかと言うと
あなたの元カレが
ゆきにとって一番の
トラウマとも言える相手だから」
「どういう事ですか…?」
「あなたは知らないのよ
あの頃ゆきは劣等感の塊よ?
デートの約束しても
元カレを優先されて反故
何度も思い知らされる
自分が劣ってるってこと
敵わないってこと
やることなすこと
元カレ元カレ
元カレを中心に動く好きな女
わからない?
初めてゆきに
唯一トラウマになるくらい
劣等感を植え付けた男
それがあなたの元カレ、望月翔吾
そんなこわぁい存在から
最愛のあなたが淫らに溺れる
セックスビデオよ?
どんな気持ちがわかる?」
ぐっと唇を噛む
涙が熱くて痛い
何も言い返せない…
私は嗚咽した
ゆきくんの胸のうちを想うと言葉が出なかった
知らなかった、しょうくんをそんな風に思ってたなんて……もしかして私が心変わりした可能性を、ゆきくんは考えてるのだろうか
もしかして私にまだ
しょうくんに対しての気持ちが残ってると思っているんだろうか
涙が出る
そんな事…あるわけないのに…
ばかだよ…
「むりよむり
立ち直れないわよ
多分
あなたのこと
信じられないわよ
下手したら二度とね
自分に隠れて
あんたが元カレと会ってるって
考えるだけで死んじゃうわよ
悪いことは言わないわ
別れなさい
わたしにはゆきを守る義務がある
害悪よ、あなたは
これ以上ゆきを苦しめる前に
別れなさい」