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美人妻は性欲旺盛っ!

第21章 背水







 私は涙目で立ち上がる





「嫌です…」





 沙緒里さんの言い分がもっともなのはわかる

 正しいのもわかる

 理に叶ってるのもわかる

 私が最低なのもわかる





 それでも





「別れなさい?」



「嫌ですッ!!」








 私の目は、泣きながらにしてライオンのようだった





「…すごい迫力ね
それで?どうするの?
会えないし、多分口も聞いてくれないんじゃない?
電話だって絶対出ないわよ」



「沙緒里さんの電話を
貸して下さい」



「………頭いいわね
いいわよ、はい」





 私は沙緒里さんの携帯からゆきくんに電話をかけた

 私の携帯からは出なくても、姉の着信なら出てくれると思った





『…もしもし』





 聞き慣れたゆきくんの声
 元気のない…





 ………ッ…



 確かに声が聞きたかった

 でも声を聞いただけで涙が出そうになるなんて思わなかった





「……っ…」



『…右京か?』





 言い当てられてビクッとなる





『右京だろう?』



「うん…そうだよ
ねえ話そ?お願い…
私に言い訳させて…?」



『右京…でも…ごめん
ごめんな
昨日も言ったけど
俺…だめかもしれない
…お前を…信じられない』



「待っ――」





 プツッ



 私が何か言うより先に電話のほうが切れてしまった





 電話が切れても

 ゆきくんの力のない声が

 耳から離れなかった





 自分の半身をもぎ取られたくらい心が痛かった





「なに驚いてるの?
あなたも知ってるでしょ?
男と女なんて
終わる時は一瞬よ」





 ゆきくんに拒絶された…





 たったそれだけで

 悲しくて
 涙が大粒になってこぼれた

 何も考えられない

 胸が張り裂けそうで痛い





 おわる…おわってしまう





 アホだ……私……

 ゆきくんを傷つけて……

 も、最低だ……死にたい……

 死んじゃいたい……



 私はしゃくりあげながら
 でも……ってなる

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