美人妻は性欲旺盛っ!
第23章 ひとりの戦い
「私はたとえ
総理大臣が相手でも
ムキになって突っかかりますよ
相手が誰かなんて関係ない
不貞で野暮ったい妻が悪く言われるのは当たり前です
でもそんな奥さんのせいでゆきくんまで悪く言われたら、私は本当に役立たずになっちゃうんですよ
ただでさえ役立たずなのに
最低なのは私なのに」
私に気圧されてか、いつもは偉そうにしているママたちが呆気に取られて唇を固く閉じている
それでもプライドがあるのか表情には悔しさが見られ、何か言い返そうとしているのがわかった
ふん、と思った
私は荒んでいて、心証が悪くなろうが言い合いになるのならばいくらでも相手してやる気持ちだった
私が何か言いかけたその時、頭に温かい手がぽんと乗せられた
「強いね
でもよしなさいな」
驚いて振り返ると、このマンションの中では私が一番心を許している美春さんがそこにいた
「あなたが頑張る相手は
この人らじゃないんじゃない?
それとも八つ当たり?」
図星を刺されて
私は泣きそうな表情になった
私はゆきくんを傷つけた自分自身に強い怒りを感じていた
でも、その怒りのやり場が見つからなくて……
「周りをよく見る
喧嘩売ってどうすんのよ
しょーもない子だ
やる事、あるんでしょう?
大人のハナシはさ
あとはあたしが引き受けるから
あんたもう行きなさい」
美春さんに抱かれた
赤ん坊のりあちゃんが
私に向かって
あーと手を伸ばしてきて
私はすごく泣きそうになった
嬉しかった
りあちゃんは私を覚えてくれてる
たまにしか遊びに来ていないはずの私なんかを…
ぐちゃぐちゃな私を心配するように無邪気な笑顔で手を伸ばして…
「…っ…失礼します」
私は袖で顔を隠した
鼻水をすする
自分が恥ずかしくなる
でも胸が熱くて、怒りよりずっと胸が熱くてたまらなかった
味方がいる事が、びーびー泣きたいくらい嬉しかった