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美人妻は性欲旺盛っ!

第23章 ひとりの戦い

side右京






 もうだめかと思った時に触れる暖かさには涙が溢れた



 一瞬だけ見てくれたり、一言だけでも口を聞いてくれたり、こいよってもうそれだけで泣きたい



 一歩前進できるたびに右京は泣きたいくらい嬉しかった






 無駄じゃない、完全に見放されてるわけじゃない、ゆきくんはまだ私に全てを諦めたわけじゃない






 望みがある
 完全に飽きられてない

 希望がある
 私は…離婚なんてしたくない

 私の全部をあげてもいい
 ゆきくんと一緒がいい












 だから…私はそれを悪意を持って壊そうとする人間を絶対許さない



 ザッ…

 右京は人の気配がして少しだけ後ろを振り返った

 右京はもう、第一に、よくのこのこ顔を出せたなと思った






「片倉…」
「………しょうくん…」
「なんでだよ」
「どうして…ここに…?」






 時刻は夕方
 ゆきくんの会社前
 私の前に望月翔吾が現れた



 考えないようにしていた
 けれど、避けては通れない道なのかもしれない






「言ったろ?
この近くでバイトしてる
少し前から…見かけてた」






 色々あった

 初めて付き合った人で
 初めて好きになって
 好きでいようって
 それは、本当に、嘘じゃない
 でも別れて



 思い出にしたけど
 再会できた時
 不謹慎だけど嬉しかった
 まだ好きだと言われて
 やっぱり嬉しかった
 私にとっては特別な人で
 求められたら
 応えてあげたかった



 あの頃、学生の頃
 私の中で後悔した想い
 決着がつけられなかった想い
 一方的に別れを告げられ
 未消化のままで
 終わりきれない気持ち
 今度こそ
 見つけられるかもしれない



 教えてくれるかもしれない
 チャンスだと思ったよ



 私は……知りたかった
 本気で恋してたから
 今でも
 理由を知りたかった
 自分がなんでフられたのか



 でも失敗した



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