美人妻は性欲旺盛っ!
第23章 ひとりの戦い
右京はそれを黙って見たあと、自分もお金を出して運転手に渡した
「この人を〇〇の〇〇まで
お願いします」
ゆきの実家である
やろう、とゆきは思った
「おやすみ、ゆきくん」
「………」
「また明日」
「治るまで来るなよ」
「うん」
「おやすみ」
「うん」
次の日、いくらかマシになった程度の右京の姿があった
どう見てもまだ風邪気味だ
「おはよう」
「もう治ったよ」
「一晩寝たら治った」
「薬がよく効いてくれてね」
「それよりお昼どう?」
「食べに行こうよ」
「晩ご飯でもいいよ」
「話そうよ」
「会いたいよ」
「もっと会いたい」
ゆきは目をつぶる
かわいい声を聞き流し、無視して横を通り抜けた
右京が嘆息した
右京もまた、歩き、離れる
二人は離れていく
ゆきは受付に寄る
手紙を受け取るために
とても切ない
中を開けたくない
それでも
あぁそれでも
ゆきは封を切り読む
思わず喉に出かかった言葉をなんとか胸に押しとどめる
俺もだよ
って早く言いたい
ゆきは笑った
悪女、と石田は言っていた
でもゆきは、右京になら何度騙されたっていいと思った
裏切られてもいい
都合よく利用されても
まあ
大金をボられても
いいかなって思った
惚れた弱みってやつだ
ゆきは高く掲げて透かし、宝物であるかのように手紙を見つめた