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美人妻は性欲旺盛っ!

第23章 ひとりの戦い







 右京は泣きそうになる

 自分がどれだけ
 想われていたのか

 自分がどれだけ
 許されていたのか…






 物的証拠があるのである

 ゆきにはいくらでも
 そういう処置を取れたのだ

 怒り、傷つけられた代償や腹いせとして公正に、右京に賠償を求めたってよかったのだ

 最低で不出来な妻を
 捨ててもよかったのだ






 けれどそうはならなかった

 どうだろう
 この甘やかされっぷりは

 全っ然…許されてる






 まるで
 心の整理がついたら水に流してもいいよと言われてるようだった






 そんなんでいいわけなかった

 あの人のパートナーとして、生涯の伴侶として、甘えるだけの女に何が務まるのだろうか






「姉ちゃんねぇ…
ホントは大学行きたかったよ
友達作っていっぱい遊んで
いい男探して…
大学行った友達がしてるような
楽しいこと
ホントはしてみたかった
きっと楽しいんだろうなぁ…」



 右京は呟いた
 姉を犠牲にしてしまった京平には何も言えない



「でも今のほうがずっと幸せ
これだけは断言できるよ
こんなにも自分を愛してくれる男と結婚できたんだから
私より幸せなやつはいないよ」



 右京は京平の頭を、辛気くさい弟をわしわしと撫でた

 信じられるだろうか
 最悪な形で浮気が発覚した右京の誠心誠意は伝わってしまった

 右京は今度、嬉しくて嬉しくて涙が止まらなかった



 あれから2ヶ月が経った



 右京がちょこんと顔を出せば、ゆきは話しかけてくれる
 もう拒絶されない
 見つめたら、目を合わせてくる

 ときめいてその場で倒れてしまいそうになりながら、右京はとにかく喋って場を持たせた

 いきなり顎を触られると右京のドキドキは限界だった

 してほしかった
 今すぐ
 とろけるような…



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