美人妻は性欲旺盛っ!
第27章 番外編2 望月翔吾
「あ、セフレいたんだ」
「いたよ!
でも全部縁切って…
ひっく…
わたしガラじゃないのに
翔吾くんのためとかいって
本気になってて…
心を開いてもらいたくて…
い、いまさら信じてもらえないかもしれないけど…っ」
「いや、信じるよ」
未優は目を見開いた
翔吾が女性不信である事は未優もよくわかっていた
好きだと言っても
真剣に好きと伝えても
彼には届かなかった
だから信じてもらえるわけがないと未優は思っていた
「好きになってくれてありがとう
素直に嬉しい」
「信じて…くれるの?」
「もういいんだ
俺の事なら心配いらない」
「すごく…
すごくすごく好きなの!
一緒にいたいの!
わたしじゃだめ?
もう一度やり直したいよ!」
翔吾の世界は
例えるなら諦めと静寂
色を失ったモノクロの世界だった
人を愛する事も
愛される事も諦めて
寂しさだけがそこにあった
でも惹かれた
苦しくて吐き出し
何もかも許されたら
自分を少し誉める事ができた
前より苦しくなくなった
翔吾の罪は生半可ではない
許されてはいけない
他人の、右京の
幸せをぶち壊そうとしたのだ
それすらも許し
一晩中話を聞いてくれた
抱きしめられた
彼女はあったかくて
いい匂いがして
翔吾は強い母性に触れた
どれだけ救われたか
吐き出した汚いものを
清らかな指で救うような行為
「だめ
未優が俺がいいように
俺もあの人がいい」
「やだ!別れない!」
「強情だなぁ…」
「面倒くさい女でいいもん!」
「いいよわかった、わかってもらえるまで説得するよ」
翔吾は誠実なタイプで
だからこそ右京の不誠実な行為に打ちのめされ、許せず、苦しみ、苦悩の末トラウマになってしまった
苦しんで、苦しんで
憎み、恨み、嫌悪し
割り切れず、誰にも話せず
ひとり胸の奥にしまい込んだ
でも何かが変わり始めた
変われそうだった
もう少しで
肩の力を抜き
右京と気楽に話せる
この淫乱やろう!
笑って頭を殴り倒せる
そんな所まできている
翔吾はすっきりした顔をしていた
灰色だった世界は
いつの間にか眩しくなっていた