無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

「それ…受けるの……？」



　私も大人だ
　だからそれがわかる

　妻を一夜貸すだけで
　数百万の大金が
　ポロッと手に入る
　交渉次第でもっとむしり取れる



　またとないビッグチャンスだ
　ガキくさい考え方を捨てて
　大人の考え方をするべき

　ゆきくんだって大人だ
　愛より金というわけではない
　これはビジネス



　この場面において
　夫は専業主婦の妻に
　たまには働け、
　と言うのが正論で正しい。







　ここは
　ゆきくんが好きだから
　私ががんばる所だ…







　けれどゆきくんは
　ふつうに爆弾発言した



「まさか。
右京は俺んだよ
誰にどう言われようが
指一本だって触れさせねぇよ」







　………え？







　俺の…

　なに心配してたんだろ。



　そうだよね。

　ゆきくんはお金で
　私を売ったりしないよ
　そういう人だもん
　そういう人だから
　ずっとずっと
　死ぬほど大好きなんだもん



　少しでも疑った自分が
　恥ずかしかった
　不安がっていた自分は
　瞬く間にいなくなり
　代わりに胸がｷｭﾝとなる



「けど弱ったな
このままじゃ埒があかない…」

「え、どうして？」

「どう断っても
どれだけNOって言っても
諦める気配がねぇ
日本人だからって
甘く見られてんのかもな
ちっ…」