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翔ちゃんとニノちゃんのヒミツ

第9章 壊れかける愛

from二宮和也

最低。
最低。
最低。

この言葉が俺の脳内を駆け回る。
俺は最低だ。
自分の思ってもないこといっぱい言って、翔さんを困らせたり傷つけたり…。
気づけば泣いてて。
もう自分がわからない。

とりあえず今、目的も無く走ってる。
自分の格好も忘れて。
メイド服なんて恥ずかしい。そんなことすら思わなかった。
考えるのは翔さんのこと。
あの顔が頭から離れない。
普段は絶対見せない様な辛そうな顔。
必死に涙をこらえる顔だった。

「えっ?今の嵐のニノじゃなかった?」

隣ですれ違った女の子に気づかれたみたいだ。

「メイド服着てるよ!?」

後ろから声と共に足音が聞こえる。
とりあえず店の中にでも入らなきゃヤバいな。
また見つかったら大変だ。

涙をふきながら、走るスピードをあげ女の子たちの足音は聞こえなくなった。

「いらっしゃいませー」

「これで。いれるだけいさせて。」

さしだしたのは5000円。
漫画喫茶だ。
30分200円だから長く居れるだろう。

「かしこまりましたー。こちらどうぞー(´∀`)」

なんでここに来たかはわからない。
着いたのがここだった。

「ごゆっくりどーぞー」

店の子は若くて可愛い子ばかり。
この子もそうだ。
背は俺と同じくらいで少しぽっちゃりしていて可愛い。
翔さんと付き合う前はこんな子すぐナンパしてた。
自分に自信があったからなのかもね。
でも今は全くない。
むしろ自分が嫌いだ。

ニ「翔さぁん…。会いたい…。」

自分から抜け出して来たのに。
ほんと俺自分勝手だな。

気がつけば携帯で「翔さん」と表示してある連絡先を見ていた。
発信ボタンを押したいけど…。
怖くて押せない。

ニ「もしかしたら…。翔さんに嫌われたかもしれない。」

そんなことばかり思ってしまって。

結局その時、ボタンを押せなかった。

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