
喘ぎ声レッスン*SS追加中*
第10章 一つの終着点
「これ見て」
優に差し出された手の中には、クマがある。
「これ…、」
あたしが小学生時代、集めるのにハマっていたベアーシリーズだ。
「お前がくれたんだよ。昔、お前が俺にくれた、大切なクマなんだ」
そう言われて、思い出した。あたしは昔から『泣きそうな人が居たら励ましなさい!』って親に言われてたから、悲しそうな人を見たら落ち着かない性分だった。
立ちつくして泣きそうな男の人がいたのを覚えている。あまりにも綺麗な顔で、見るもの全てを魅了させてしまいそうな表情。
たしか…
「あの時?」
「そう。俺達運命なんだよ?」
そう言われて、あたしは嬉しくて優に抱きついた。ぎゅっと抱きしめ返してくれる優が、大好きだ。
